「綺麗にしてから売った方が高く売れますよ」 と不動産会社に言われた経験のある方は、けっこう多いと思います。
実家の売却を検討し始めたとき、私もそう聞きました。 一見もっともらしい話なのですが、いろいろな話を読んだり聞いたりするうちに、 「実は、リフォームしないで売る方がいいケースが多い」 ということが見えてきました。
この記事では、なぜそうなるのかと、それでもリフォームすべき例外を整理しています。
なぜ「リフォームしないで売る方がいい」のか
理由はシンプルで、かけたお金が、売却価格にそのまま乗らないからです。
かけた費用と上がる査定額は一致しない
知人から聞いた話ですが、実家の水回りを300万円かけてリフォームしてから売りに出したそうです。 結果、リフォーム前の査定額との差は約120万円でした。
つまり、180万円の赤字になった計算です。
これは特殊な例ではなく、ネットの体験談を見ていると同じようなパターンを何度も目にします。
リフォーム会社と不動産会社は別の業界です。 「綺麗にする」と「高く売れる」は、思っているほど直結していません。
買い手は「自分好みにリフォームしたい」ことが多い
中古住宅を買う人の多くは、 自分の好みで内装を変える前提で物件を探しています。
特に40代以下の買い手は、SNSやインテリア誌で見たような空間を作りたい人が多くて、 売主が選んだ壁紙やキッチンが、自分の好みに合うとは限らない。
きれいにリフォーム済みの物件は、 「自分がやりたいリフォームの自由度が下がる」 とむしろ敬遠されることがあります。
解体予定の買い手にはリフォームが無意味
築40年を超えるような古い実家の場合、 「土地として買って建て替える」買い手も一定数います。
その人たちにとっては、 リフォーム済みかどうかは関係ありません。 むしろ、 解体する家にお金がかかっていると、 「この売主は予算管理が苦手かも」と読まれるリスクすらあります。
それでもリフォームすべき例外的なケース
ゼロかイチの話ではないので、 やった方がいいケースもあります。
水回りが致命的に古い・壊れている
トイレが和式のまま、 浴槽がタイル張りで底に穴が空きそう、 キッチンの蛇口から水が止まらない。
こういう状態だと、 内見した買い手が「ここには住めない」と感じてしまいます。
ただし、これも全面リフォームは不要です。 部分修繕で十分なケースが多くて、 数十万円で印象がガラッと変わります。
シロアリ・雨漏り・傾きなど構造的な問題がある
これは「リフォーム」というより、 不具合の解消として必要です。
雨漏りを放置したまま売りに出した方の話を読んだことがあります。 内見の途中で天井のシミに気づかれて、 当初の査定額から大幅に減額された、と。
雨漏りやシロアリは告知義務(売主が買主に伝える法的な義務)の対象になることがあって、 隠しても後でトラブルになります。 それなら先に直しておく方が結果的に得です。
内見時の第一印象が極端に悪い
長く空き家になっていた実家は、 匂い・ホコリ・庭の雑草で、内見前から印象が決まることがあります。
ただ、これも「リフォーム」ではなく、 ハウスクリーニングで十分対応できます。 全体で5〜15万円程度。
リフォームと掃除は、混同しないことが大事です。
判断する前に必ずやっておくこと
ここまでの話を踏まえて、 「じゃあリフォームすべきかどうか、どう判断するか」 という話に入ります。
複数社の査定を取って、想定売却額を把握する
リフォームの予算は、売却額から逆算して考えるべきです。
たとえば査定額が2,500万円なら、 そこから100万円のリフォームをかけて2,700万円で売れる見込みがあるなら、 やる価値があります。 100万円かけて2,550万円にしかならないなら、 やらない方がいい。
数字がない状態で「やった方がいい」「やらない方がいい」を考えても、 結論は出ないんです。
詳しい相場の調べ方は別の記事にまとめています。
「リフォームしたら査定額がいくら上がるか」を聞いてみる
査定の段階で、 不動産会社に直接「リフォームすると査定額はどう変わりますか?」と聞くのがいいと思います。
「200万円かければ300万円上がる見込み」なら検討の価値あり、 「200万円かけても50万円しか上がらない」ならやらない方がいい。
判断材料がはっきりすれば、 迷う時間が短くて済みます。
相場だけ知っておきたい方へ
「売るかどうか」を、いま決める必要はありません。
ただ、自分の家や土地が、いまどれくらいの金額になりそうなのか。 ざっくりでも分かっていると、判断の土台ができます。
「持ち家売却」というサービスを使うと、最大5社の不動産会社にまとめて訪問査定を頼めます。 運営は東証プライム上場の株式会社セレスです。
- 売却を前提にしなくて大丈夫です
- 「まだ検討段階です」と伝えれば問題ありません
- 複数社の金額を比べると、極端な数字にも気づけます
知ったうえで、今は動かないという選択もできます。 そういう使い方をしている人も多いようです。
なお、訪問査定を完了すると、サービス側からPayPayポイント(5,000円相当〜)がもらえる仕組みもあるそうです。
「不動産会社の言いなり」にならないために
ここで、 1社の意見だけで判断しない方がいい理由を書いておきます。
リフォームを勧める不動産会社の動機
不動産会社が「リフォームしてから売りましょう」と言うとき、 そこにはいくつかの動機が混ざっていることがあります。
- 自社や提携会社のリフォーム部門の売上にしたい
- 売却価格が上がれば仲介手数料も上がる
- 「綺麗な物件の方が売りやすい」(営業しやすい)
どれも会社にとっては合理的な理由ですが、 必ずしも売主の利益を最優先しているわけではない、 ということだけは頭に入れておくといいと思います。
複数社の意見を聞く重要性
ある人は実家の売却で、 A社に「800万円かけて全面リフォームしましょう」と提案された一方で、 B社からは「現状のままでも売れますよ」と言われたそうです。
結果、B社にお願いして売却し、 800万円が手元に残った形になったと話していました。
1社だけだと、 その会社の「売り方の癖」に流されやすい。 これは別の記事にも書いた話です。
実家・相続物件の特殊事情
実家の場合、 普通の中古住宅売却とは違う事情がいくつかあります。
相続したばかりの場合は、 まず自分の家ではない不動産の現状を把握することが先です。 リフォームの判断は、相場と税金を確認してからの方が落ち着いて考えられます。
兄弟で相続した場合は、 リフォーム費用を誰が負担するかで揉めることがよくあります。 「綺麗にしてから売ろう」と提案した人が費用を出すのか、 兄弟で按分するのか。 後で「言った・言わない」になりやすい部分です。
親の介護施設入居など、急ぐ事情がある場合は、 リフォームに数ヶ月かけている時間がないこともあります。 早く現金化したいなら、現状のまま売る判断が現実的です。
リフォームより先に「相場を知る」
長くなりましたが、 一番伝えたいことはシンプルです。
「リフォームすべきかどうか」は、 今いくらで売れるかを知らないと、判断できません。
リフォームを検討する順番として、
- 複数社の査定を取って、想定売却額を把握する
- リフォームすると査定額がどう変わるか、不動産会社に聞く
- 数字を見て、やる価値があるかを判断する
この順序でいくと、 「業者に勧められたから」で動くより、 はるかに納得して決められます。
「綺麗にしてから売った方がいい」 という言葉は、 半分は本当で、 半分は売り手の都合かもしれません。
数字を見てから決める。 これが、後悔しない一番の方法だと思っています。


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