実家を売ろうかと考えたとき、真っ先に気になるのが「税金っていくらかかるの?」ということだと思います。
自分もそうでした。 なんとなく「売ったら税金がかかるらしい」とは知っていたけど、具体的にいくらなのか、安くする方法があるのか、まったくわからなかった。
調べてみたら、使える控除(税金を減らせる制度)を知っているかどうかで、支払う税金が数百万円変わることもあるとわかりました。
この記事では、税金の専門家ではない自分が「これは知っておいたほうがいい」と思ったポイントをまとめています。
そもそも、実家を売ると何の税金がかかるのか
不動産を売って利益が出ると、「譲渡所得税(じょうとしょとくぜい)」という税金がかかります。
ざっくり言うと、「売れた金額」から「買ったときの金額+売るのにかかった費用」を引いて、残った利益(儲け)に税金がかかるという仕組みです。
計算式で書くとこうなります。
譲渡所得 = 売却額 −(取得費 + 譲渡費用)
取得費というのは、親がその家を買ったときの金額のこと。 譲渡費用は、仲介手数料や測量費など、売るためにかかった費用です。
ここで大事なのが、利益が出なければ税金はかからないということ。 買ったときより安く売れた場合は、課税されません。
税率は「持っていた期間」で変わる
利益が出た場合の税率は、不動産を持っていた期間で大きく変わります。
5年超(長期)→ 約20% 5年以下(短期)→ 約39%
ほぼ倍の差があります。
実家を相続した場合、親が持っていた期間を引き継げます。 たとえば親が30年前に買った家なら、相続してすぐ売っても「長期」扱いになるので約20%で済みます。
これは知っておくとかなり安心できるポイントです。
「取得費がわからない」ときの落とし穴
親がいつ、いくらで家を買ったか。 これを証明する書類(売買契約書など)が残っていれば問題ありません。
でも、古い家だと契約書が見つからないことも多いです。
その場合、取得費は**売却額の5%**として計算されてしまいます。
たとえば、実家が2,000万円で売れた場合。
取得費が5%だと100万円。 売却にかかった費用が100万円だとして、譲渡所得は1,800万円。 税金は約360万円。
もし契約書が残っていて、取得費が1,500万円だとわかれば、譲渡所得は400万円。 税金は約80万円。
差額は280万円。 契約書があるかないかだけで、これだけ変わります。
親が元気なうちに、「家を買ったときの書類ってどこにある?」と聞いておくだけで、将来の税負担がまったく違ってくる可能性があります。
使える控除① ── マイホームの3,000万円特別控除
実家を売るときに使える控除の中で、いちばんインパクトが大きいのがこれです。
自分が住んでいた家を売った場合、利益から最大3,000万円を差し引けるという制度です。
3,000万円も控除できれば、ほとんどのケースで税金がゼロになります。 仮に利益が2,000万円あっても、控除後はゼロなので税金はかかりません。
ただし、これは**「自分が住んでいた家」**が条件です。
親が住んでいた実家を相続して、自分は別の場所に住んでいる場合は、この控除は使えません。
逆に言えば、親と同居していた人が実家を相続して売る場合には使えるということです。相続後もそのまま住んでいれば、引っ越してから3年以内の売却で適用になります。
使える控除② ── 空き家の3,000万円特別控除
「うちは同居してなかったから無理か……」と思った方、もうひとつ別の控除があります。
相続した空き家を売った場合にも、最大3,000万円を控除できる制度です。
正式名称は長いのですが、「空き家特例」と呼ばれることが多いです。
ただし、こちらは条件がやや厳しめです。
主な条件: 親がひとりで住んでいた家であること、昭和56年(1981年)5月31日以前に建てられた家であること、相続してから売るまで空き家のままであること(賃貸に出していないこと)、相続から3年後の年末までに売ること、売却額が1億円以下であること——といったものがあります。
さらに、売るときに耐震リフォームをするか、建物を解体して更地にしてから売る必要があります。
条件が多く見えますが、古い木造の実家を相続して売るケースでは意外と当てはまることがあります。 該当しそうなら、税理士や不動産会社に相談してみる価値はあります。
控除を使うと、どれくらい変わるのか
具体的な数字で見てみます。
たとえば、親が昔1,000万円で買った実家を2,500万円で売却。 売却費用が150万円だったとします。
控除なしの場合: 譲渡所得 = 2,500万 −(1,000万 + 150万)= 1,350万円 税金(約20%)= 約270万円
3,000万円控除が使える場合: 譲渡所得 = 1,350万 − 3,000万 = マイナス → ゼロ 税金 = 0円
差額は約270万円。 これだけ違います。
控除を知っているかいないかで、手元に残るお金がまるで変わるということです。
もうひとつ知っておきたい ── 取得費加算の特例
あまり知られていませんが、相続税を払った人が使えるもうひとつの制度があります。
相続税を払って実家を相続した場合、払った相続税の一部を取得費に上乗せできるという仕組みです。取得費が増えれば、その分だけ利益が減るので、譲渡所得税も安くなります。
この特例を使うには、相続してから3年10ヶ月以内に売却する必要があります。
相続税がかかるくらいの遺産がある場合は、早めに売却を検討したほうが得になるケースがあるということです。
確定申告を忘れると、控除は使えない
ここまで読んで「使えそうな控除がありそうだ」と思った方、ひとつだけ注意点があります。
控除を受けるには、確定申告が必要です。
不動産を売った翌年の2月16日〜3月15日の間に、税務署に申告します。
「控除を使えば税金がゼロだから、申告しなくていいだろう」と思ってしまう人がいるそうですが、それは間違いです。控除を適用してゼロにするためにも、申告が必要です。
申告を忘れると、控除が使えず本来払わなくてよかった税金を請求されることになります。
まずは「自分のケースでいくらかかるか」を把握する
税金の話は複雑に見えますが、まとめるとポイントは3つです。
利益が出なければ税金はかからない。 利益が出ても、使える控除があれば大幅に減らせる(またはゼロにできる)。 控除を使うには、条件の確認と確定申告が必要。
いちばん大事なのは、売る前に「自分のケースではどの控除が使えそうか」を確認しておくことです。
不動産会社に査定を依頼するとき、「税金のことも相談できますか」と聞いてみると、提携している税理士を紹介してくれるケースもあります。
まずは実家の相場を調べて、ざっくりとした利益の見込みを把握しておく。 そこから「控除が使えそうか」「確定申告は必要か」を確認していけば、必要以上に税金を払うことは避けられるはずです。
相場だけ知っておきたい方へ
「売るかどうか」を、いま決める必要はありません。
ただ、自分の家や土地が、いまどれくらいの金額になりそうなのか。 ざっくりでも分かっていると、判断の土台ができます。
いくつかの不動産会社にまとめて査定を頼める、無料のサービスがあります。
- 売却を前提にしなくて大丈夫です
- 「まだ検討段階です」と伝えれば問題ありません
- 複数社の金額を比べると、極端な数字にも気づけます
知ったうえで、今は動かないという選択もできます。 そういう使い方をしている人も多いようです。
▼ あわせて読みたい

コメント