親名義の不動産、どうすればいい?動けない理由と、最初の一歩

実家・不動産を売る話
この記事は約7分で読めます。

「実家の名義が親のままになっている」という話は、本当によく聞きます。

私自身もそうでした。父が亡くなってから3年近く、実家の名義は父のままでした。「そのうち手続きしないといけない」とは分かっていたのに、何から始めればいいのか分からないし、兄と本格的に話し合うのも気が重くて。気づいたら2回目のお盆が過ぎていました。

親が施設に入った、あるいは亡くなった後も、不動産の名義変更をしないまま何年も過ぎてしまっている。「いつかやらないといけないとは思っているんだけど」という状態で、ずっとそのままになっている。

なぜ動けないのか、理由を聞いてみると、だいたい似たようなパターンが出てきます。手続きが面倒そう、費用がどのくらいかかるか分からない、兄弟と話がまとまっていない、そもそも何から始めればいいか分からない。私の場合はこれが全部重なっていました。

この記事では、親名義の不動産を抱えたまま動けなくなっている人が、何を整理すればいいのかをまとめています。


「親名義のまま」が続くと、何が困るのか

名義が親のままでも、今すぐ何か罰則があるわけではありません。だからこそ後回しになりやすいのですが、時間が経つほど手続きが複雑になっていく、というのが正直なところです。

一番大きな問題は、売りたいと思ったときに売れなくなることです。不動産を売るには、名義人の同意が必要です。親が亡くなっていれば相続手続きが必要になり、その相続人が複数いれば全員の同意を取る必要があります。

親が生きているうちはまだシンプルですが、親が亡くなった後に名義変更をしないでいると、次の相続が発生したときにさらに複雑になります。子どもが亡くなって孫の代になると、関係者がどんどん増えていくんです。「昔の不動産の名義が曾祖父のままになっていて、相続人が十数人になってしまった」という話は珍しくありません。

これを聞いたのは、親戚の集まりでたまたま出た話でした。「うちの田舎の土地、もう誰のものか分からなくなってる」と言っていた叔父の顔を今でも覚えています。そのときは他人事でしたが、父が亡くなってから「これは自分の話でもあるな」とじわじわ感じるようになりました。


「相続登記」が2024年から義務化された

2024年4月から、相続によって不動産を取得した場合は3年以内に相続登記(名義変更のこと)をすることが義務化されました。正当な理由なく放置した場合、過料(罰金のようなもの)が科される可能性があります。

「今さら言われても」という気持ちはよく分かります。私も最初にこのニュースを見たとき、少し焦りました。ただ同時に、「これを言い訳に動き始めてもいいな」とも思いました。誰かに背中を押してもらうきっかけが欲しかったんだと思います。これを機に「そろそろ動かないといけないな」と考える人が増えているのも事実で、逆に言えば今が動きやすいタイミングでもあります。


親が生きている場合と、亡くなっている場合で話が変わる

親名義の不動産の扱いは、親が今どういう状態にあるかによって、まず考えることが変わります。

親がまだ生きている場合

この場合、不動産の持ち主は親本人です。売る・貸す・名義を変えるなど、何かをするには親の同意が必要になります。

親が判断能力を持っている間は、本人の意思で動けます。ただ、認知症などで判断能力が低下してしまうと、本人が契約行為をできなくなります。そうなると、「成年後見制度」という仕組みを使わないと売却もできなくなります。この手続きはかなり時間と費用がかかるので、「親が元気なうちに話し合いだけでもしておく」という判断は、後から見ると正解だったと感じる人が多いです。

知人に、まさにこれで苦労した人がいました。お母さんが認知症になってから実家をどうするか考え始めたそうで、「売るにも貸すにも、何もできない状態になってしまった」と言っていました。成年後見の手続きを始めてから実際に動けるようになるまで、1年以上かかったそうです。「もう少し早く動いていれば」という後悔は、今も残っているとのことでした。

親が亡くなっている場合

この場合は相続手続きが必要になります。まず相続人が誰なのかを確定して、遺産をどう分けるかを相続人全員で話し合い(遺産分割協議といいます)、その結果をもとに名義変更の手続きをする、という流れです。

遺言書がある場合はその内容に沿って進めることができますが、ない場合は相続人全員の合意が必要になります。兄弟間で意見が割れると、ここが一番時間がかかる部分になります。


名義変更(相続登記)の大まかな流れ

手続きの全体像を知っておくと、「何が大変なのか」が具体的に見えてきます。

まず必要なのは、亡くなった人の出生から死亡までの戸籍を集めることです。相続人が誰かを法的に証明するために必要で、本籍地の市区町村役場で取得できます。複数の市区町村にまたがっていることも多く、ここが地味に手間がかかる部分です。

私が実際にやったとき、父の本籍が途中で変わっていて、2つの市役所に郵送で請求することになりました。返送まで2週間ほどかかったので、「こんなに時間がかかるのか」と思ったのを覚えています。手続き自体は難しくないのですが、とにかく待ち時間と書類の数が多い印象でした。

次に、相続人全員で遺産分割協議を行います。誰がその不動産を引き継ぐか、あるいは売却して分けるかを決めます。全員が同意した内容を「遺産分割協議書」という書面にまとめます。

そのうえで、法務局に相続登記の申請をします。自分でできないわけではありませんが、書類の準備が多く、間違いがあると何度もやり直しになるため、司法書士に依頼する人が多いです。費用は物件の評価額や依頼する事務所によりますが、数万円〜十数万円程度が目安です。

私は司法書士に依頼しました。費用は12万円ほどでしたが、「これだけ書類を揃えて、確認して、申請してくれるなら妥当だな」と感じました。自分でやろうとしていたら、途中で詰まって余計に時間がかかっていたと思います。


「売るかどうか」は、名義変更の後に決めればいい

「名義変更をしたら売ることになってしまう」と思っている人もいますが、そうではありません。名義変更はあくまで「誰のものか」を正しく記録する手続きで、売る義務は何もありません。

私も最初はそう思っていました。名義変更=売る準備、という感覚があって。でも実際には、名義変更をしたことで「少し気持ちが楽になった」という感覚の方が強かったです。「ちゃんと自分のものとして向き合えるようになった」というか。

ただ、名義変更をしておくと、「売ろうと思ったときにすぐ動ける」状態になります。親名義のままでは、いざ売ろうとしても手続きが増えて時間がかかります。

「今すぐ売るつもりはないけど、将来的には売ることになるかもしれない」という場合こそ、名義変更だけ先に済ませておく、という判断がしやすいタイミングだと思っています。


兄弟がいる場合の「話し合い」が一番難しい

名義変更の手続き自体より、相続人が複数いる場合の話し合いの方がしんどい、という声をよく聞きます。

私にも兄がいて、この話し合いが一番大変でした。兄は実家から遠くに住んでいて、管理のことはほぼ私に任せきりでした。「売った方がいいとは思うけど、まだ決めたくない」という兄の態度に、何度かイライラしたのを覚えています。

「実家に思い入れがある兄弟と、さっさと売りたい自分」「管理を任されてきた自分と、遠くにいて関わってこなかった兄弟」。立場が違えば考え方も違うので、意見が食い違うのは自然なことです。ただ当事者になってみると、頭では分かっていても感情が追いつかない部分がありました。

転機になったのは、一括査定で実際の金額を見たことでした。「今いくらで売れるのか」という数字が出てきたら、急に話し合いが具体的になって。それまで感情的になりがちだった兄も、「この金額なら」と前向きになってきました。

相場を知らないまま「売るか残すか」の議論をすると、それぞれが別の前提で話しているのにかみ合わないことがあります。「今いくらくらいで売れるのか」という数字を共通の出発点にすると、話し合いが具体的になりやすいと、自分の経験から感じています。


まず「今の状態」を把握するところから

親名義の不動産について、何から始めればいいか分からないという場合は、まず「今の状態を整理する」ことから始めると動きやすくなります。

今の状態とは、誰が相続人になるのか、不動産の評価額がどのくらいか、ローンや抵当権(担保に入っているかどうか)が残っていないか、といったことです。これを把握するだけでも、次に何をすべきかが見えてきます。

不動産の評価額は、複数の不動産会社に査定を依頼することで知ることができます。売ると決めなくても、「今いくらくらいなのか」を知っておくだけで、話し合いの土台になります。

※ここに「無料不動産査定サービス」へのリンクを設置予定です


最後に

親名義の不動産は、「いつかやらないといけない」という気持ちがあっても、なかなか手がつかないテーマのひとつだと思っています。

私自身、動き始めるまでに3年かかりました。でも実際に動いてみると、「なぜあんなに先送りにしていたんだろう」と思うくらい、一つひとつのステップ自体はそれほど大変ではなかったです。大変なのは「最初の一歩を踏み出すこと」だったんだと思っています。

時間が経てば経つほど、手続きは複雑になっていきます。今は動けなくても、「今の状態を知る」だけなら今日からでもできます。まず現状を把握して、そこから少しずつ整理していく。それだけで、何年も止まっていた問題が動き始めることがあります。

関連記事:実家を売るか迷っている人へ。私がすぐに決めなかった理由

関連記事:不動産を売る前に「相場だけ」知っておいた方がいい理由

関連記事:空き家の実家を放置してしまう人へ。売る前に考えたこと

コメント

タイトルとURLをコピーしました