親が亡くなって、 実家の鍵を受け取った日のことを覚えている方は多いと思います。
「これからどうしよう」と思った瞬間に、 隣で「全部きれいにしてから考えた方がいいよ」と誰かに言われる。 親戚かもしれないし、 知り合いの不動産屋かもしれません。
ただ、 「とりあえず綺麗にする」は、 実は一番もったいない選択肢になることがあります。
この記事では、 相続した実家をどう使うかで、 必要なリフォームの範囲がまったく変わる、 という話をまとめています。
「最低限」を決める前に、実家を「どうするか」を決める
リフォームを考える順番として、 一番先に決めるべきは「この実家をどう使うか」です。
選択肢は大きく4つあります。
- 売却する
- 自分(または家族)が住む
- 賃貸に出す
- しばらく現状のまま管理する
それぞれで「最低限のリフォーム」の中身が、 全然違ってきます。
「とりあえず全部きれいにしてから考える」 という人をよく見ますが、 用途によってはやらなくてよかった工事に何百万円もかけてしまった、 というケースが結構あります。
売却前提なら、ハウスクリーニング+部分修繕で十分
売却する前提なら、 大規模なリフォームは基本的に不要です。
親が長く住んでいた家は、 内装にそれなりの経年が出ているのが普通です。 買い手側もそれを理解した上で価格を見ているので、 中途半端にリフォームしても査定額に反映されにくい。
それより、
- ハウスクリーニング(5〜15万円)
- 致命的な不具合の部分修繕(水栓・トイレ・雨漏り箇所など)
この程度で十分なケースが多いです。
▶ 実家を売る前にリフォームすべきか|多くのケースで「やらない方がいい」理由
自分が住むなら、安全と機能を優先する
相続した実家に自分や家族が住む場合、 優先順位は明確です。
最優先:構造の不具合
- 雨漏り
- シロアリの被害
- 耐震性の不足(特に1981年以前の旧耐震基準で建てられた家)
- 給排水管の老朽化
これらは、放っておくと住み始めてから大きな問題になります。 住む前にチェックしておく価値があります。
後回しでいいもの:内装と設備
- 壁紙の張り替え
- キッチンや浴室のグレードアップ
- 床のリフォーム
こういう内装系は、 住みながら気になった部分から順次でも構いません。
「全部一度にやろう」とすると予算が膨らみますが、 住んでみて初めて分かる「ここが不便だな」を反映してから工事した方が、 結果的に納得度が高くなります。
兄弟で相続している場合は、 リフォーム費用を誰が負担するかで揉めることがあります。 自分が住むなら誰の負担なのか、 先に整理しておくとトラブルを避けられます。
賃貸に出すなら、水回りと耐震だけ
賃貸に出す場合、 借り手が見るポイントはかなり絞られます。
- 水回りの清潔感(キッチン・浴室・トイレ)
- 耐震性(築年数で判断されるので、耐震診断書があると強い)
- セキュリティ(玄関の鍵、窓の防犯性)
逆に、 内装は壁紙の張り替え程度で十分です。 賃貸の入居者は「自分の家」ではないので、 過度なリフォームは家賃に転嫁できないことが多い。
ただし、 「賃貸需要があるエリアか」を確認するのが先です。
地方や郊外で借り手がつかないエリアだと、 数百万円かけてリフォームしても、 何ヶ月も空室が続いて回収できないことがあります。 リフォーム前に、 そのエリアの賃貸需要を不動産会社に聞いておくのがおすすめです。
しばらく現状のまま管理するなら、劣化対策だけ
「いつかは決めるけど、 今すぐ決めなくていい」 というケースもあります。
この場合、 放置すると家の価値が一気に下がる部分だけを修繕しておきます。
- 雨漏り(屋根・外壁の割れ)
- 給排水管の破損
- シロアリの初期被害
これらは早期対応すれば数万円〜十数万円で済みますが、 放置すると数百万円の被害になります。 決断を先延ばしにする間も、 判断の選択肢を残しておくためのリフォームと考えるといいと思います。
ただし、 「現状維持」を続けすぎると、 固定資産税や管理コストが積み重なって結果的に損することもあります。 1年に一度くらいは、 売却や賃貸の検討タイミングを設けるのがおすすめです。
判断する前に必ず確認しておきたいこと
ここまでの話を踏まえると、 「どう使うか」を決めるためには、 いくつかの数字を先に把握しておく必要があることが分かります。
- 売却した場合の想定価格
- 賃貸に出した場合の想定家賃
- 現状維持にかかる年間コスト(固定資産税、管理費)
特に売却額は、 査定を取らないと分かりません。 「売却した場合いくらになるか」を知らないまま、 自分が住む・賃貸に出すの判断をしても、 後から「売っておけばよかった」となるケースがあります。
相場だけ知っておきたい方へ
「売るかどうか」を、いま決める必要はありません。
ただ、自分の家や土地が、いまどれくらいの金額になりそうなのか。 ざっくりでも分かっていると、判断の土台ができます。
「持ち家売却」というサービスを使うと、最大5社の不動産会社にまとめて訪問査定を頼めます。 運営は東証プライム上場の株式会社セレスです。
- 売却を前提にしなくて大丈夫です
- 「まだ検討段階です」と伝えれば問題ありません
- 複数社の金額を比べると、極端な数字にも気づけます
知ったうえで、今は動かないという選択もできます。 そういう使い方をしている人も多いようです。
なお、訪問査定を完了すると、サービス側からPayPayポイント(5,000円相当〜)がもらえる仕組みもあるそうです。
「とりあえず全部きれいに」が一番もったいない
最後に、 失敗パターンとしてよく見るケースを紹介します。
ある人は、 親が亡くなった実家を「とりあえず綺麗にしよう」と思い、 300万円かけて壁紙とキッチンをリフォームしたそうです。 ところが、 兄弟で話し合った結果、 売却することに決まった。 結局、 リフォーム費用は査定額にほとんど反映されず、 200万円以上が無駄になった。
ある人は、 賃貸に出す前提で2部屋全面リフォームをしました。 でも、 そのエリアは賃貸需要が低くて、 半年経っても借り手がつかない。 エリアの賃貸需要を確認していなかった、 と後悔していたそうです。
ある人は、 「いつか決める」前提で、 まず雨漏り箇所だけ10万円で修繕した。 その後、 自分が住むことになっても、 売却することになっても、 どちらの選択肢も残せた、 と話していました。
リフォームの判断を急がない、 でも「決めなくていい状態」を保つために最低限の手は入れておく。 このバランスが、 後悔の少ない実家との付き合い方だと思っています。
相続税の申告期限や、 固定資産税の支払いタイミングと一緒に検討すると、 全体像が見えやすくなります。


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