親が孤独死した実家、売れるのか

特殊な不動産の話
この記事は約5分で読めます。

親が一人暮らしをしていた実家で亡くなり、発見が少し遅れてしまった。

そういう連絡を受けたとき、悲しみや動揺のあとに、ふと頭をよぎるのが「この家、もう売れないんじゃないか」という不安だと思います。

自分の知人がまさにこの状況に直面したことがありました。離れて暮らしていたお父さんが自宅で亡くなり、数日後に発見された。葬儀のあと、しばらくしてから「あの家、どうしたらいいんだろう」とぽつりと漏らしていたのを覚えています。

結論からいえば、孤独死があった実家でも売却はできます。

ただし、状況によって「告知義務」(買主に事実を伝える義務)が発生するかどうかが変わり、それによって価格にも影響が出てきます。このあたりを整理しておくだけで、気持ちの持ちようがだいぶ変わるはずです。


そもそも「事故物件」になるのか、ならないのか

ここが一番気になるところだと思います。

孤独死があったからといって、自動的に事故物件として扱われるわけではありません。

国土交通省が2021年に出した「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」では、老衰や病気による自然死、あるいは日常生活のなかでの不慮の事故死(転倒や誤嚥など)は、原則として告知しなくてよいとされています。

つまり、親が病気や老衰で亡くなり、比較的早く発見された場合であれば、事故物件にはなりません。 普通の物件と同じように売ることができます。

ただし、問題は「発見が遅れたケース」です。

亡くなってから何日も、ときには数週間経ってから見つかった場合、室内に臭いや汚れが染みついてしまっていることがあります。こうなると特殊清掃(通常のハウスクリーニングでは対応できない専門的な清掃)が必要になり、その時点で事故物件として扱われる可能性が高くなります。

やっかいなのは、「何日以内なら大丈夫」という明確な線引きがないこと。 ガイドラインにも具体的な日数の基準はありません。

結局のところ、室内の状態や近隣への影響なども含めて、個別に判断されるということになります。

だからこそ、自分で「これは告知しなくていいだろう」と判断してしまうのは危険です。 必ず不動産会社に状況を正直に伝えて、プロに判断を仰いでください。


告知義務があると、何が変わるのか

告知義務というのは、物件を売るときに「こういう事実がありました」と買主に伝えなければならない義務のことです。

具体的には、亡くなった時期や場所、死因(わかる範囲で)、特殊清掃やリフォームの有無などを説明することになります。

これを怠ると、あとから買主に損害賠償を請求されたり、契約そのものを取り消されたりするリスクがあります。

「言わなければバレないだろう」という考えは、結果的にもっと大きなトラブルにつながるので、ここは正直にいくのが一番です。

なお、売買の場合は賃貸と違って「◯年経ったら告知しなくていい」という時効のようなものが明確に定められていません。

ネット上では「10年経てば大丈夫」「建物を壊せば関係ない」といった情報も出回っていますが、根拠のない話だと思っておいた方がいいでしょう。


価格はどのくらい下がるのか

ここも正直に書きます。

孤独死があり、事故物件として扱われた場合、売却価格は通常の相場より1〜2割程度下がることが多いとされています。

たとえば、本来3,000万円で売れるはずの物件であれば、2,400〜2,700万円あたりが目安です。

ただ、これはあくまで目安であって、実際には立地や物件の状態によって大きく変わります。人気エリアにある物件なら値下がり幅が小さいこともありますし、逆に郊外で需要が少ない場所だともう少し下がることもあります。

また、特殊清掃の有無も価格に影響します。 遺体の発見が遅れて清掃が入った物件は、発見が早かった場合よりも心理的な抵抗が大きくなりやすいので、価格の下落幅も大きくなる傾向があります。

一方で、発見が早く、室内にダメージがほとんどない場合は、事故物件扱いにならないこともあります。 その場合は通常の相場に近い金額で売れる可能性が十分あります。


売却の方法は大きく2つ

孤独死があった実家を売る方法は、一般的な不動産売却と同じく「仲介」と「買取」の2つです。

仲介 不動産会社に間に入ってもらい、一般の買主を探す方法です。時間はかかりますが、買取よりも高い価格で売れる可能性があります。事故物件でない場合や、立地が良い物件であれば、仲介で十分売れることも珍しくありません。

買取 不動産会社が直接買い取る方法です。買主を探す手間がないのでスピードが速く、早ければ数週間で現金化できます。ただし、買取価格は仲介での相場より3割ほど安くなるのが一般的です。「とにかく早く手放したい」「近所に知られたくない」という場合には向いています。

どちらを選ぶにしても、まず複数の不動産会社に相談して、査定額を比較するところから始めるのがおすすめです。

事故物件やわけあり物件に強い業者もいれば、そうでない業者もいます。1社だけで判断してしまうと、本来もっと高く売れたのに安く手放してしまう、ということも起こり得ます。


売る前にやっておきたいこと

実際に売却活動を始める前に、いくつか準備しておくと話がスムーズに進みます。

特殊清掃が必要な場合は早めに手配する 放置すればするほど状態は悪化しますし、近隣への影響も大きくなります。清掃後の報告書や写真があると、買主への説明もしやすくなります。

相続の手続きを済ませておく 親名義のまま売ることはできないので、相続登記(不動産の名義を親から自分に変更する手続き)を先に完了させる必要があります。2024年4月から相続登記は義務化されているので、この点も忘れないようにしてください。

室内の片付けや遺品整理 荷物がそのまま残った状態では査定もしにくいですし、内覧のときに買主の印象もよくありません。遺品整理の業者を使うのもひとつの手です。


気持ちの整理がつかないまま動かなくていい

最後にひとつだけ。

こういう状況に置かれたとき、「早くしないと」という焦りが出てくることがあります。 固定資産税のこと、管理のこと、近所の目のこと。いろいろ気になるのは当然です。

でも、焦って安く売ってしまうのも、判断を先延ばしにしてずるずる放置するのも、どちらもあとで後悔しやすいパターンです。

まずは相場だけでも調べてみる。 不動産会社に「こういう状況なんですが」と相談だけしてみる。 それだけでも、頭のなかのモヤモヤが少し晴れることがあります。

動けるタイミングで、動ける範囲から。それでいいと思います。

普通の不動産会社で断られた方へ

事故物件、孤独死、長く放置された家。 こうした事情のある不動産は、一般の不動産会社では「扱えない」と言われることがあります。

ただ、専門に対応している会社もあって、そういうところは事情を分かったうえで査定してくれます。

  • 普通に売れない事情があっても、査定を受けられます
  • 「家族の状況が複雑で…」という相談からでも問題ありません
  • 専門業者なので、近所に話が広がる心配もありません

ひとりで抱え込む前に、まず聞いてみるのも手です。

ひとりで悩まずに、まず聞いてみるなら → ワケガイ(訳あり物件専門の買取)


▼ あわせて読みたい

コメント

タイトルとURLをコピーしました