「話だけでも聞いてみよう」くらいの気持ちで、近所の不動産屋に行ったことがあります。
実家のことがずっと頭にあって、でも何も動けないまま何ヶ月も過ぎていたので、ある日の午後、思い切って飛び込んでみたんです。予約もせず、ふらっと。我ながら無謀だったと思います。
入る前から、すでに緊張していた
ドアの前で少し立ち止まりました。
「入ったら売る前提で話が進むんじゃないか」「その場で何か決めさせられたらどうしよう」という気持ちが先に立っていました。ホームページに「相談無料」と書いてあっても、なんとなく信じきれなかった。
結局、深呼吸してドアを開けました。
担当者は丁寧だったけど、頭がついていかなかった
対応してくれた方は、本当に丁寧でした。周辺の相場から始まって、最近の成約事例、売却の流れ、媒介契約の種類(専任・専属専任・一般の違い)まで、かなり詳しく説明してくれました。
ただ、正直に言うと、頭が全然ついていきませんでした。
「媒介契約の種類が3つある」と言われても、それぞれの違いをその場で理解して「じゃあこれにします」と言える状態ではなかったです。「分かりましたか?」と聞かれて「はい、だいたい」と答えましたが、だいたいも分かっていなかったと思います。
今振り返ると、私が準備できていなかっただけで、担当者の説明は悪くなかった。でもあのとき、相場すら事前に調べていない状態でカウンターに座っても、情報を受け取る器が全然できていなかったんだと思っています。
「今日は決めなくて大丈夫ですよ」と言われた
説明が一通り終わった頃に「今日はどうされますか?すぐ決めなくていいですよ」と言われました。
これは本心だったと思います。でもその言葉を受け取りながら、「決めないで帰ること」に妙な罪悪感を感じていた自分がいました。丁寧に1時間以上説明してもらって、何も決めずに帰るのは申し訳ない、みたいな。
「少し考えます」と言って、名刺だけもらって帰りました。お茶まで出してもらったのに。
家に帰ってから、じわじわと気づいたこと
帰り道、なんとなくぼんやりしていました。スッキリしたわけでも、前に進んだわけでもない。でも「行かなければよかった」とも思っていなかった。
家に帰ってから、メモ帳に担当者から聞いたことを書き出してみました。書き出してみると、思っていたより内容を覚えていなくて、「あれ、結局相場っていくらって言ってたっけ」という状態でした。
そこで気づいたんです。あの場で「情報を受け取る」ことができていなかった理由は、事前に何も調べていなかったからだと。相場の目安すら持たずに行ったから、数字を言われても比較する基準がなかった。「高いのか安いのか」が判断できない状態だったから、何も頭に入らなかった。
順番が違ったんだと思う
あの日の経験で一番得たことは、「不動産屋に行く前に準備が必要だ」という当たり前のことでした。
準備といっても大げさなことじゃなくて、「だいたいの相場を知っておく」それだけでよかったと思っています。自分で調べられるサービスもあるし、複数社にまとめて査定を依頼できる仕組みもある。それをやってからカウンターに座っていたら、あの担当者の話がもっと具体的に聞こえていたはずです。
「いくらで売れそうか」という感覚があるだけで、「今が売り時かどうか」「急ぐ必要があるかどうか」という話にも、自分なりの判断が持てるようになる。
何も決めなかったことは、間違いじゃなかった
あの日、何も決めずに帰ってきたことは、結果的には正解だったと思っています。
準備ができていない状態でその場の流れに乗って何か決めていたら、後から「本当によかったのか」という引っかかりが残っていたかもしれない。「少し考えます」と言って帰ってきた自分は、情けなかったけれど、正直だったとも思っています。
あの日の帰り道の「なんとなくぼんやりした感じ」が、「ちゃんと準備してから動こう」という気持ちの出発点になりました。
相場だけ知っておきたい方へ
「売るかどうか」を、いま決める必要はありません。
ただ、自分の家や土地が、いまどれくらいの金額になりそうなのか。 ざっくりでも分かっていると、判断の土台ができます。
いくつかの不動産会社にまとめて査定を頼める、無料のサービスがあります。
- 売却を前提にしなくて大丈夫です
- 「まだ検討段階です」と伝えれば問題ありません
- 複数社の金額を比べると、極端な数字にも気づけます
知ったうえで、今は動かないという選択もできます。 そういう使い方をしている人も多いようです。

コメント